10の徳島宣言

  1. 徳島は宣言する。
    ここなら安心して子育てできることを。

    メディアは毎日のように「少子化対策を」と伝えている。

    だけど都会では、生まれる前から保育園探しを始めても
    なかなか希望通りには入れないという現状がある。
    仕事の帰りは遅く、子育てとの両立は正直いってきつい。

    子どもが大きな声を出せば周囲の視線が気になるし、
    思いっきり走りまわらせてあげられる場所もない。
    安心して預けられる近所の人だっていない。

    昔はごくあたりまえのことだった子育てが、
    なんだかひどく難しいものになってしまった気がする。

    でも徳島なら、子どもを育てる幸せがきっと素直に感じられる。

    男性の育児参加率調査では、全国でも指折りの結果を出し続けている。(*1)
    保育園や幼稚園の環境は日本一で、安心して見てもらえる場所がある。(*2)(*3)
    子ども一人ずつの名前を覚えて、声をかけてくれるご近所さんがいる。
    小児科医の人数も日本一だから、病気やケガの多い幼児期をサポートできる。(*4)

    こうやって、家族みんなで子育てができる。(*5)
    地域ぐるみで、のびのびと子育てができる。
    これこそが子どもの、そして日本の、明るい未来をつくっていく。

    だから徳島は宣言する。
    ここなら安心して子育てできることを。

    • *1 男性の1日あたり平均育児時間 56分・全国5位(平成23年・社会生活基本調査/平成18年は1位)
    • *2 保育士1人あたりの保育所在所児童数 5.5人・全国1位 (平成26年・厚生労働省)
    • *3 人口10万人あたり幼稚園数 23.82園・全国1位(平成26年・文部科学省)
    • *4 人口10万人あたり小児科医師数 300.0人・全国1位(平成26年・厚生労働省)
    • *5 仕事からの平均帰宅時刻 18時02分・全国1位(平成23年・社会生活基本調査)

  2. 徳島は宣言する。
    歳をとってもいきいきと輝けることを。

    定年を迎えたら、人生の残り時間はゆったりと。
    そんなライフプランがあたり前だとされている。
    だけど本当にそうだろうか?

    徳島のお年寄りには、リタイアなんて言葉、似合わない。(*1)(*2)

    上勝町のおばあちゃん達は、朝起きてまずタブレットをチェックする。
    市場の値動きを見て、料理の「つま」になる葉っぱを山から摘んでくるのだ。
    年商2億6000万円の葉っぱビジネスは、映画にもなって話題を呼んだ。
    このビジネスモデルに学ぼうと、学生たちが毎年インターンシップに来て町がにぎわう。

    夏になれば阿波おどりがある。
    三歳の男の子も、九十歳を超えたおじいちゃんも、おなじリズムでひとつになる。
    若者に遠慮なんていらない。
    一年を通して練習があるから、仲間にも出会えるし、身体も動かせる。

    医療や介護も充実している。
    お医者さんの数も、高齢者施設の整備率も、徳島は全国屈指の充実度だ。(*3)(*4)(*5)
    なによりご近所同士が知り合いで、お互いに見守りあっている。
    病気になっても、災害にあっても、きっとだれかが声をかけてくれる。

    老後は人生のおまけなんかじゃない。
    リタイアなんてもったいないこと、いっていられない。

    だから徳島は宣言する。
    歳をとってもいきいきと輝けることを。

    • *1 「とくしまねんりんピック」を県下一円において開催。グラウンドゴルフや卓球などのスポーツ部門、囲碁や将棋などの文化部門に分かれており、平成27年はのべ3,439名が参加。
    • *2 シルバー大学校・大学院が計9校開かれており、平成27年度末までに、のべ13,552人が大学校を卒業。特にICTコースからは、大学校1,480名、大学院717名の卒業生を送り出している。シニアITアドバイザーも1級382名、2級243名、3級91名が誕生。高齢者が「IT講師」として県内で活躍中である。
    • *3 人口10万人あたり病院数 14.8施設・全国3位(平成26年・厚生労働省)
    • *4 65歳以上の高齢者向け施設整備率 7.6%・全国4位(平成26年・厚生労働省)
    • *5 特別養護老人ホーム待機者数 1,986人・全国最少(平成26年・厚生労働省)

  3. 徳島は宣言する。
    しなやかに災害に立ち向かうことを。

    起伏に富んだダイナミックな地形、恵みをもたらす複雑な海岸線。
    日本の大地のゆたかさは、つねに地震や津波のリスクと裏表の関係にあった。
    それは徳島も例外ではなく、南海トラフ巨大地震の可能性が指摘されている。

    だからこそ徳島は考える。
    どう災害に立ち向かうのか。

    胸を張って誇れる、徳島の強みとはなんだろう。
    おそらくそれは、人と人との結びつきだ。
    徳島は、住民がみずから町を美化する「アドプト・プログラム」発祥の県。(*1)
    地域活動がさかんで、自分たちの町は自分たちでつくる、という意識が強い。(*2)

    防災教育も一歩進んでいて、子どもたちは学校で地震について学んでいる。(*3)
    一部地域では、災害時にテレビのデータ放送で避難を呼びかける試みも始まった。(*4)

    古くからある人と人とのつながりと
    新しい知見や技術を活かした備えと。
    その両者が合わさって、もしものときの力になる。

    だから徳島は宣言する。
    しなやかに災害に立ち向かうことを。

    • *1 アドプト大国・とくしまhttp://www.pref.tokushima.jp/docs/2010112400153/
    • *2 自主防災組織の人口カバー率は93%と、全国6位。県内の24市町村で組織されている。
      また、南海トラフ巨大地震等から死者ゼロを目指す徳島県では、津波浸水エリアや活断層付近への建物立地を規制する条例を全国ではじめて制定した(平成24年「徳島県南海トラフ巨大地震等に係る震災に強い社会づくり条例」)。
      他県との連携した取り組みとして、災害発生時に同時に被災を受けていない地域から救助・応援を受ける体制を構築している(平成16年~「鳥取県・徳島県相互応援協定」)
    • *3 防災教育の成果を発表する「ぼうさい甲子園」において、県内の小中校生が、グランプリをはじめ各賞を毎年受賞している。また、平成24年より、県が「防災生涯学習コース」を開設。子どもからお年寄りまで幅広い層が、講座やネットを通じて防災について学べる体制が整っている。
      30歳未満の防災士数(人口10万人あたり)48.7人(全国2位)
    • *4 JOINTOWNhttp://www.ntv.co.jp/ntvcsr/jointown/index.html

  4. 徳島は宣言する。
    山奥でも速い、日本一のネット環境を。

    徳島は日本屈指の光ファイバー網を有している。(*1)
    驚くような山奥にもWi-Fiが飛んでいて
    限界集落の点在する神山町でも、通信速度は東京都心の数倍のスピードを誇る。

    ビジネスを活性化させる、インターネットの速度。
    古民家を再生した心やすらぐオフィスに、美しい里山。
    朝起きて、夜眠る。仕事と生活の健やかなバランス。
    よそからやってくる人を歓迎する、おおらかな精神風土。

    これらの条件がクリエイティブな職種にはうってつけだと
    いくつもの東京の企業が、神山にサテライトオフィスを置いた。(*2)
    鮮やかな緑の中でアプリをつくり、4K技術を磨く。
    あらたな技術とアイディアが、この地から発信されていく。

    生まれているのはビジネスだけではない。
    15年続くアーティスト・イン・レジデンスからは、50名を超える芸術家が育った。
    若者が移住して、雑貨店や地元の野菜を活かすカフェを開いた。

    昔からあるものを輝かせながら、あたらしいものを生み出す。
    徳島には、これからの働き方がすでにある。
    そのための必要条件が、快適なネット環境だったのだ。

    だから徳島は宣言する。
    山奥でも速い、日本一のネット環境を。

    • *1 ケーブルテレビ普及率 89.8%・5年連続全国1位(平成28年・総務省)
      教育用コンピュータ1台あたりの児童人数 4.5人/台・全国3位(平成27年・文部科学省)
      学校内の教室LAN整備率 97.1%・全国2位(平成27年・文部科学省)
    • *2 徳島県内・サテライトオフィス設置事業者 34社(平成28年5月末日現在)
      【内訳】神山町13社 美波町13社 三好市5社 徳島市1社 阿南市1社 牟岐町1社

  5. 徳島は宣言する。
    女性が自分らしく生きられることを。

    こつこつとキャリアを積み、
    やりがいあふれるポジションに就く。
    そんな女性が増えているし、社会もそれを求めている。

    なのに、家庭と仕事とで板挟みになって
    出産と育児を機に仕事をあきらめざるをえない、
    不幸なケースがまだまだ多い。

    でも徳島なら、そんなことはない。
    「讃岐男に阿波女」という古い言葉のとおり
    徳島の女性たちはみな、昔から働き者で知られてきた。

    江戸末期に生まれ、阿波しじらという織物を発明した海部ハナさん。
    日本初の女性代議士のひとりであり、政務次官まで務めた紅露みつさん。
    阿波女の活躍は、まだ女性の社会進出がめずらしい時代から光っていた。

    現代の徳島では、女性が要職に就くことさえ自然な風景だ。
    企業の役員においても、県の審議会においても、女性比率は日本一を誇る。(*1)
    県はコールセンター誘致や在宅ワーク導入を進めていて、働く場所も多い。(*2)
    子育てに専念することもできるし、そのあとに復職する道だってある。
    小学校六年生まで育児サポートを受けられる制度も整っている。(*3)

    けれどなにもそれは、女性のためだけではない。
    女性がのびのびと活躍できる社会は
    男性も女性も、大人も子どもも、風通しよく会話ができて
    わくわくしながらそれぞれの持ち味を発揮できる
    そんな社会のはずだ。

    だから徳島は宣言する。
    女性が自分らしく生きられることを。

    • *1 女性社長率 9.81%・全国3位(平成27年・帝国データバンク)
      管理職の女性比率 17.7%・全国1位(平成24年・経済産業省)
      審議会等委員の女性比率 50%・8年連続全国1位(平成27年・内閣府)
    • *2 徳島県 情報通信関連事業立地促進補助制度
      http://www.pref.tokushima.jp/promoting/yuguseido/johotusin.html
      徳島県 テレワーク実証実験http://www.pref.tokushima.jp/docs/2014081200028/
    • *3 徳島県ファミリーサポートセンターhttp://fami-sapo.jp/index.cgi
      小学校卒業までの子ども医療費・無料化(全国トップクラス *一部自己負担あり)
      第3子「保育園」「幼稚園」「学童保育」・無料化(H28・4~全国初の制度創設)

  6. 徳島は宣言する。
    この地で生まれる、世界を変えるイノベーションを。

    あたらしい技術は、いつも東京発?
    そんなことはない、と徳島は自信を持っていえる。
    この地は都からは離れていても
    古くからイノベーションで知られてきたからだ。

    江戸時代、「藍といえば阿波、阿波といえば藍」といわれ
    高い品質を誇る阿波藍は、全国の市場を席巻した。
    いまも伝統技術を受け継ぐ藍師たちが
    ほかでは出せない青「JAPAN BLUE」を支えている。

    16世紀には遠浅の地形を活かした塩田が始まり
    明治から昭和にかけて、徳島は塩の一大供給地だった。
    やがて技術の変革により塩の価格が下がると
    製塩技術を転用して製薬業がさかんに。ピンチをチャンスに変えた。

    明治維新で職を失った船大工たちもまた、危機を好機に変えた。
    指物師に転身した彼らは、徳島のゆたかな森林資源を活かし
    見事な意匠をこらした鏡台やたんすを全国に出荷する。
    いまでも徳島は、日本でも指折りの家具産地として知られる。

    そして近年では、徳島が世界ではじめて
    青色LEDの製品化に成功した。
    高輝度LEDの生産量は世界屈指を誇り(*1)
    アメリカ西海岸のシリコンバレイにならってLEDバレイとも呼ばれる。(*2)

    イノベーションは、技術だけがあれば起こせるものではない。
    自然資源、時代を読むセンス、
    困難をバネにする強い志、そして進取の心。
    それらが徳島には揃っている。

    だから徳島は宣言する。
    この地で生まれる、世界を変えるイノベーションを。

    • *1 LED出荷金額比率 62.9%・全国1位(平成26年・経済産業省)
      リチウムイオン電池正極材生産量・世界一(徳島県調べ)
    • *2 徳島県内のLED集積企業・132事業者http://led-valley.jp
      LED夢酵母による日本酒の醸造についてhttp://led-valley.jp/docs/2016041400011/

  7. 徳島は宣言する。
    日本の原風景を残していくことを。

    東京はすぐに顔つきを変える。
    絶えず競争にさらされ、街並みはつねに更新される。
    積み重ねられた時間も、歴史を語る地名も、再開発で消えていく。

    だから何十年と住んでいても、ここではないどこかに
    本当のふるさとがあるような気がしてしまう。

    徳島なら、その求めていた風景に出会える。

    満々とゆたかな水をたたえ、東西に流れる吉野川。(*1)
    その流れが二億年かけて大地を削った、大歩危、小歩危(おおぼけ、こぼけ)の絶景。
    だれもが思わず声をあげる、力強い鳴門の渦潮。
    太陽がふたつ重なったかのように見える、だるま朝日。
    人と自然とが調和する里山に、いまも残るかやぶきの屋根。
    南部の海底には、千年かけて育ったサンゴが巨木のようにそびえ、(*2)
    四国山脈屈指の高さを誇る剣山は、力強く雄大にたたずむ。

    徳島ははじめてなのに、なぜだかなつかしい。
    日本ははじめてなのに、なんだかジンとくる。

    こんな場所があることで、人は元気になれる。
    見たことのない過去と現在とが、つながっていることを実感できる。

    だから徳島は宣言する。
    日本の原風景を残していくことを。

    • *1 「最も水質の良好な河川」全国96地点のうち、徳島県内からは吉野川を含む5地点が選ばれている。(平成26年・国土交通省)
    • *2 牟岐大島湾内には日本最古にして最大ともいわれている、外周30メートルの「千年サンゴ」がある。
      西日本第二の高峰であり、日本百名山の一でもある「剣山」がある。

  8. 徳島は宣言する。
    この土地の「食」は、幸せをもたらすことを。

    築地には、日本でいちばんいい食材が集まるという。
    じゃあそのぶん、東京の食はゆたかだといえるのだろうか。

    お店にいけば多種多様な食材が並んでいて、産地の情報を追いきれない。
    技術や流通が進歩したおかげで、季節外れの野菜や魚も一年中手に入る。
    選択肢は驚くほど豊富なのに、じっくり吟味して料理するゆとりはない。
    あふれる情報の中、ゆたかな食の本質を、見失いかけてはいないだろうか。

    ルーツがわかり、生産者の顔が見える。
    ちょうど旬を迎えて、獲れたてのまま届く。
    そんな食材をあたり前のものとして、日々食べて暮らす。
    高価な料理や話題のお店よりも、それこそが本当の贅沢のはずだ。

    そう考えると、徳島は恵まれている。
    吉野川をはじめとする大河が県内を流れ、水と土とを運ぶ。
    肥沃な土壌が広がるこの地では、阿波忌部氏の昔から農業がさかんだった。
    瀬戸内海、紀伊水道、太平洋と3つの個性ある海に囲まれて、魚もおいしい。

    生産量日本一のすだちと阿波尾鶏。
    鳴門のワカメに鯛、さまざまな楽しみ方のできるハモ。(*1)
    どれも安くて新鮮。産地もはっきりしている。

    新鮮で安心できる食材が、気軽に手に入ること。(*2)
    旬を知り、それを楽しむ方法を心得ていること。
    それらは幸せな人生の条件のひとつかもしれない。
    だって人の身体は、食べたものでつくられるのだから。

    だから徳島は宣言する。
    この土地の「食」は、幸せをもたらすことを。

    • *1 徳島県が出荷量で全国1~3位の農林水作物(農林水産省統計等)
      すだち、にんじん、カリフラワー、れんこん、しいたけ、ハモ、地鶏、つまもの
    • *2 徳島県の食料自給率 カロリーベース:45%、生産額ベース:127%(平成25年・農林水産省)

  9. 徳島は宣言する。
    世界に誇れる文化を発信することを。

    超高層のビルやマンション、めまぐるしく入れ替わる人々。
    壮麗な美術館や劇場で、日夜開かれるイベント。
    海外資本のブランドショップが立ち並ぶ目抜き通りに
    華やかなネオンサインと量販店ばかりが目立つ繁華街。

    グローバル化が進む中で、街の変容は加速して
    そのぶん「らしさ」が失われていく。

    このままでは東京も、上海やシンガポールといった
    他のアジアの大都市と変わらなくなってしまいそうだ。
    なんでもあるかわりに、「これがある!」といえるものがない。
    それじゃ、ちょっとさみしい。

    徳島には、「これがある!」と誇れるものが多い。

    400年間続く阿波おどりは、高円寺をはじめ国内40ヵ所、
    やがてはパリやハワイなど海外各地にまでひろがった。(*1)
    江戸時代から庶民に親しまれてきた阿波人形浄瑠璃は
    いまなお県内にいくつもの人形座と農村舞台を残し、観光客を惹きつけている。(*2)
    アジア初、ベートーヴェンの第九をオーケストラで演奏したのも徳島だ。(*3)
    耳に残るメロディは全国に広がり、現代の冬の風物詩となった。

    情報と交通のスピードが限りなく上がり
    世界が狭く、均一になっていく時代だからこそ
    この土地らしさをもっと大事にしたい。

    どこかとおなじではない、徳島だからこそ
    ここにしかないものがあるからこそ
    何度訪れても楽しんでもらえる。

    だから徳島は宣言する。
    世界に誇れる文化を発信することを。

    • *1 阿波おどり 外国人が選ぶ日本の祭り・第1位(平成26年・日本テレビ系列「世界一受けたい授業SP」)
      観光客が参加できる日本の祭り・第1位(平成24年・日本経済新聞調べ)
    • *2 徳島県内の農村舞台の数・88棟(NPO法人阿波農村舞台の会調べ)
      県内に残る人形座の数・全国1位(14座)(平成18年・大阪府能勢町浄瑠璃シアター調べ)
    • *3 ベートーヴェン交響曲第九番のアジア初演は、1918年の徳島県板東俘虜収容所での出来事だった。

  10. 徳島は宣言する。
    「おもてなし」のルーツがここにはあることを。

    最近、「おもてなし」という言葉をよく耳にするようになった。
    それって、ホテルや料亭の接客のことだろうか。
    お金を払って受ける高級なサービスのことだろうか。
    たぶん本当のおもてなしは、そんなものではないのだ。

    対価を支払う、パッケージ化されたおもてなしとは
    対極に位置するものが、徳島にはある。(*1)

    それは、古来より続いてきたお遍路文化だ。

    お遍路は、歩く人だけで成り立つものではない。
    道々でそれを助ける人があって、はじめて可能になる。

    だから徳島の人々は、いまも白装束のお遍路さんを見れば
    家や接待所にこころよく招き入れてお茶や食事をすすめ(*2)
    果物やお菓子、ときにはお心づけまでも手渡す。

    見ず知らずの人から金品をもらうなんて
    東京からやってきた人は戸惑うかもしれない。
    だけど徳島ではあたり前の光景なのだ。
    自然体で、自分の持てるものをひとに与える。(*3)
    もちろん見返りは求めない。

    はじめて訪れた家で、ご馳走に呼ばれることがある。
    朝起きると玄関先に、できたてのぼた餅が置かれている。
    最初は驚くけれど、だんだん心地よくなるあたたかさ。

    こうやって声をかけ合い、わかち合う心は
    日本人が21世紀を生きぬく知恵となるはずだ。

    だから徳島は宣言する。
    「おもてなし」のルーツがここにはあることを。

    • *1 歩き遍路参加者のうち「お接待」経験率92.9%(平成23年・愛媛大学調べ)
    • *2 徳島県内の遍路小屋(お遍路さんの休憩所)の数・38ヵ所(平成26年・徳島県調べ)
    • *3 県民のおもてなし精神が発揮される例の一つに、毎年開催されている「とくしまマラソン」がある。沿道からのお接待の数々が魅力的であり、制限時間も7時間と比較的長いため、フルマラソンにもかかわらず完走率は高く、初心者からの人気も高い。平成28年の完走率は90.6%。